あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
「そんなこと言わずに!」

根負けして江梨は受け取った。

そしたらつい、

『ありがとうございます。今日私、とっても辛い事があったんです。

でもあなたのおかげで、これで子供達にクリスマスケーキとプレゼントを買ってやれます』

と、口が勝手に言い、逆に深々とお辞儀をした。

その人は、公衆電話前の農協の職員だったらしい。

後で、親に内緒でまたヒロと話した時、

「あたりまえだよ!そんなの無くしたらその人大変だよ!
一万円どころじゃない価値があるよ」

と、言っていた。

とにかく江梨はそれで子供達二人にクリスマスプレゼントとケーキを買い、二人が待つ自宅へ帰った。

知らない間に涙が乾いていた。

神様からのプレゼントかも知れない……。

そう思いながら、子供達とケーキのローソクに火をつけた。

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