あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
さよならヒロちゃん

愛してくれてありがとう

一人で行くと帰りにどう心乱れるかわからないので、江梨はアパートの隣の友人に頼んで調停に着いていって貰った。

心細いので一緒に友達も入室して欲しかったが、入れて貰えなかった。

そして、その時の記憶はない。

江梨の本能が封じてしまったのだ。

やがて待合室で大雪が降った前回と違って、夕焼けに変わる穏やかな陽射しに包まれる調停室に弁護士を挟んで、似合わないスーツを着た、会いたくて会いたくて焦がれていたヒロがいるのが気配で分かった。

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