あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
後で弁護士が言った。

「ヒロ君は、親と君達の板ばさみで、だいぶ苦しかったみたいです。わかってあげて下さい」

そんなのは、にわかに聞いただけの弁護士より、当事者の江梨の方が百も承知だ。

江梨は、子供の為に頑張ったのであって、愛するヒロを苦しめるつもりなんか最初から終りまでみじんも無かった。

江梨は、ケイの戸籍を守る為に離婚を選んだ。

ヒロと子供、両方は守れなかった。

子供を守れるのは江梨だけしかいなかったから、それがこの世にケイを送り出した責任だと、自分の愛を犠牲にして、母である事を選んだのである。
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