あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
手続きをする為に事務所に向かい、入ろうとしたその時、廊下の向こうにヒロが来た。

江梨を見て嬉しそうにして、無邪気な様子で笑った。

いつもと変わらないヒロだった。

何ヶ月も会えなくされて、やっと会えて心底嬉しかったのだと思う。

心の中に、

「江梨ちゃん!」

と、呼ぶ声が聞こえた。

江梨はわざと目を背けて、ヒロを見ないで事務室に入った。

胸の中は嵐だった。

『別れるって分かってるの?まるでまた会えるみたいな顔して。

別れるって、こういう事よ』

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