あの夏の永遠~二度と会えない君へ~

あの頃別れた後、ヒロの親に内緒で連絡をとり会おうと思えば会えた。

けれど江梨はしなかった。

それは会えばまた二人は親に隠れて会い続け、同じ事を繰り返すだけだと思ったからだ。


本当にヒロがもっと強くなって、また仕事について親を説得し、江梨たちを迎えに来るのでなかったら、こんな苦しい思いを繰り返すのは嫌だと思ったのだ。


けれどもこんなに永く苦しみ続けるなら、そんな事を恐れずに連絡を取り合いながら、ヒロの言う通りにその時を信じて待ち続ければ良かったのだ。

あの時ヒロを責めたけれど、江梨も手を離したのだ。

馬鹿だった。

今ならそう思える。

まさかこんなに長い間別れたヒロの事を忘れもせず、恋しく思い続け苦しむ事など予想もしなかった。

永遠の別れになるなど、実感がなかったのだと思う。


それに最近知ったが、ランク下の弁護士でも勝てたと言う。




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