あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
あれから数年の歳月が過ぎた。
ヒロは江梨やケイの事を、忘れてなどいないだろう。
親はなかった事だと忘れろと言っただろう。
けれど、忘れたくても忘れられないだろう。
ヒロにとって江梨は、初めて愛した相手で初めての女性なのだ。
ましてあれだけの事があり、ドラマや映画のような体験を江梨と共にして、19歳から二十歳、大学生から卒業、そして初めての就職に、あんな形の退職、結婚、調停、離婚。
まして自分の子供を産んだ江梨の事を、自分の子供を忘れる事などできないであろう。
あの頃浮気をしたのも親の言うままにしていたのも、全ては現実を受けとめる強さがなくまだ未熟だったせいで、江梨を嫌いだったとかヒロが酷い男だったと言うわけでもないと思う。
江梨にしてもその時はそれが正しい事なのだと思っても、振り返ればいつでもまだ自分は未熟だったといつでも思う。