あの夏の永遠~二度と会えない君へ~

ケイは本当にヒロと似ている。

生まれた時からそっくりだったが、日を追うごとに似てきて今では本人そのものだ。

まだ子供の、小さなケイの寝顔を見ているとヒロがそこにいるような気がする。

頭や頬を撫で、軽くキスをする。

思わず抱き寄せる。

ケイとしての愛しさに加え、ヒロが、江梨の知らなかった小さな頃のヒロが、今江梨の目の前に帰って来てくれて一緒にいてくれている、そんな気がする。

嬉しくなる。

そして悲しくなる。

一時期反抗期の時は、顔がヒロと似ているだけに、嫌な時のヒロを思い出して、ヒロに憎まれ口を言われているようで怒りがこみあげた事がある。

でもずっと愛しくて仕方がない。

こんなに江梨を慕い江梨の側にいるケイを見ていると、結ばれなかった二人を思わずにはいられない。

ヒロが側にいられなかった分も、ケイが江梨の側にいるような気がする。

「大好きだよ、お母さん。ずっとお母さんの側にいたいよ」

と、ケイはそう言い身を寄せてくる。

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