あの夏の永遠～二度と会えない君へ～

進まない時計進んで行く時計

風化しない事もある

ヒロとの出会いと別れで、江梨は風化しない事もこの世にあるのだと知った。

別れさせられた頃、忘れる事はできないけど風化はするはずと思った。

覆いをかけた愛が、いつしか風化して形がなくなると思いたかった。

だけど、会えなくなり幾年経つ今も、ヒロと過ごした時もヒロも消える事はなかった。

体はここにあるのに、心はあの部屋で今もヒロの帰りを待っている。



心の時計は止まったままでも、周りの時計は進んで行く。

空っぽの江梨の側でケイもユウも幻みたいな江梨を愛し大きくなる。

何度も砕けた江梨をタクは自分なりの誠意と愛情で守ろうとしてくれ、江梨はタクをまた許した。

江梨の周りでは時計は進んでいるのだ。