あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
ヒロの所から戻り、まだ江梨は迷っていた。

どうしたらいいのか。

生んでいいのか。

ユウはとても喜んでくれていたけれど。


江梨が通院先の病院に行った時、医師に、

『妊娠しているんです……』

他の看護婦達に聞こえない小さな声で告げた時、医師が大きな声で、

「おめでとうございます!みんな!江梨さんが妊娠なさったそうです!」

そう言ったとたん、クリニック中の人が、

「おめでとうございます!」

「江梨さん!おめでとう!」

皆がお祝いの言葉をくれた。

揺れていたのに……

揺れていたのに……

迷う背中を運命が後押しするように、私の妊娠は病院の皆の知る所となった。

『ありがとうございます……』

それからは注射や点滴もやめ、妊婦も飲んでいい漢方薬一つになった。


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