あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
それから子供が産まれるまで、一日たりとも泣かない日はなかった。

どうして毎日こんなに泣けるのかと思う位に泣いた。

すごく涙もろくなった。
自分はどうなっちゃうんだろうかと心配で仕方なかった。


つわりも酷かった。

体がキツかった。

お金もなかった。

二人ともが不安だった。
ユウも不安だった。


大学生でありながらひとまわり以上歳上の女性、しかも子供がいる女性と恋愛して、さらに自分の子供ができ、自分の子供が生まれようとしているヒロ。

シングルマザーで体を壊して福祉のお世話になっている身で妊娠し産む、相手はひとまわり以上年下のそれも大学生の江梨。

好きとケンカの繰り返し、妊娠を自分の実家にも近所にも隠し通し、お腹が目立つようになるとユウが買い物に行ってくれ、外出は極力厚着をしてごまかした。

ケンカ、仲直り、繰り返して……再度江梨はヒロからプロポーズされた。

その過程に堕ろす堕ろさないのやりとりも一度だけあったが、結局そうなった。




「俺と結婚して」

『はい』



その日は翌日から立ち向かう為に、数ヶ月ぶりにゆっくりとヒロの腕の中で寝た。
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