あの夏の永遠～二度と会えない君へ～

やはり母子家庭の課ならそれなりに、そういうパターンもあるのだろうか。

確かに江梨はその後、出産後に大きなシングルマザーのサークルに一時期入ったが、妊娠中に男と誓いあい出産に踏み切ったのに、相手の心変わりで途中で捨てられ、両親にも縁を切られ、ひとりぼっちで途方にくれる女性が結構いる現実を知った。

また婦人科だからと言って、みんな幸せな人が並んでいない事も。

自分のような境遇や、一人で生む妊婦や、子宮をとった人も、不妊症の人も同じ椅子に並んでいる事も。

だから何気無い待合室でも傷つき続けなければいけなかった。

夫の付き添いのある妊婦。

幸せそうなやりとり。

おめでたですかと聞かれる度、心が切れていった。

母子相談課でも、母子家庭の出産なんて初めてだと言われた。

現実にはいるのに、母子相談って利用できないもしくは機能不全なんじゃないか。