あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
世の中で大きな事件が起きたその日を共有する事になって、よけいに二人はお互いが自分の一部みたいに感じていた。

ドーン!グラグラ……

『ヒロちゃん!』

二人は固く抱きあった。

「怖かった……」

『何?もしかして怖かったから私にしがみついていたとか?』

「うん」

『頼りな~い!』

「地震が怖いんだからしょうがないじゃない」

『まさかお母さんが今そばにいたら、お母さんにしがみついたの?』

「うん。でも、江梨ちゃんとお母さんが一緒にいたら江梨ちゃんに抱きつくからいいでしょう?」

江梨は呆れた。

地震、雷、火事、親父と言うが、ヒロはそれの全部と犬が怖いらしい。

ああ……ゴキブリも駄目なんだった。

あの日キッチンでやかんが落ちて来た事、あの朝誰もが外に飛び出して外を見たこと、あの光景を今でも、ヒロが玄関を開けて外を見下ろす背中を、江梨は今でも覚えている。


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