あの夏の永遠～二度と会えない君へ～
江梨が喘息持ちなので、計画出産する事になった。

毎日点滴２本、終わる頃は腕が痛くて曲げれなかった。

そしてある日、

「入院しましょう」

と、言われた。

ヒロを呼び、支度をしてユウと三人でタクシーで病院に向かった。

酷い屈辱だった。

学生の見習いをたくさん並べて看護婦が、

「結婚してないの？結婚のご予定は？彼氏、答えてよ」


『えっ……あの……わかりません』

ヒロがそう言った。

あんなに打ち合わせしていたのに、動揺したのだ。

臨月で今から一人で自分の子供を出産する女性に人前で言う言葉だろうか、あまりに残酷過ぎる。

「お父さんやお母さんは知ってるの？」

関係ない質問ばかりをされ、それまで【ご主人】と呼んでいたのに【彼氏】と言い始めた。

未入籍の夫婦の出産も多いのに、意地悪く、

「彼氏はどこ行ったの？彼氏も大変ね。」

とか、子宮が開きやすくする為に子宮に風船バルーンを入れ、水を注入して膨らませ、おもりで牽引されながら、陣痛促進剤で陣痛に耐えていた江梨に入れ替わり立ち替わり看護婦が来てひやかして行った。

悲しくて一人になると涙が溢れた。
ヒロは江梨の家に寝に帰っていて、まだ来ていなかった。

その時！

お腹がすごく張った。

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