あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
痛い……
痛い……

お腹が痛くて江梨は眠れなかった。

絶食で食べられない。

お腹がペコペコの時、またあの知り合いが来て、ヒロちゃんに料理を持ってきた。

絶食の人間に対する思い遣りがない。


『私がいるとこで食べないで!』

江梨は怒った。

その彼女は、とにかく男が好きでたまらず、男の為なら金と労力は惜しまない。

友達の彼を奪って再婚し、給料を使いたい放題で、私の父の危篤に路賃を借りに行った時など、

「まだ給料日に四日もあるのに、2万円しかないからあんたに貸すお金はないわ」

と、言いながら、私の男友達や息子の男友達には旦那の給料でプレゼントを買いバラまくような人間だ。

彼女が再婚前彼女の息子が万引きをして買い取るお金を借りに来た時も、お金が無いと頼みに来た時も、江梨はお金がなくても快く貸していたのに。

江梨は自分から連絡する事はやめた。

父親の危篤に金も工面してくれない人間は友達なんかじゃないと思ったからだ。

翌日彼女の料理に箸をつけたら、食べられない位まずかった。
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