あの夏の永遠~二度と会えない君へ~
医者から説明があった。

「出産時、1・5リットルの出血で、母体も危険な状態です。
輸血しないとお母さんの命が危ないです。輸血しますか?」

江梨は他の方法はないか訪ねると、毎食ホウレンソウでもかわまないと言うのでそっちにした。

帝王切開で産まれた子は酸素が止まっていたせいで青黒く元気はなかったが、徐々に泣き声も発し、今はチューブだらけで保育器に入れられ三日は会わせてもらえないと言う。

二度とお産は嫌と言う位、苦しく痛い出産であった。

三日後対面した赤ちゃんは男の子で、ヒロそっくりだった。

見た目がそっくりすぎてやっと実感がわき、江梨はしゃくりあげて泣いた。

赤ちゃんは江梨の指を一生懸命握っていた。

後で買わされた「うぶ声カセット」ではなかなか泣かず、かなり弱々しく泣いていた。

こういうのって、出産祝いで、ただでくれないなんてケチだなあと江梨は思った。

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