明日もいつも通りに、会いましょう。


この店は学校から家までの途中、

ひとつめの駅で降りるんだけど、

こじんまりしたお母さんと同じ年齢くらいのおばさんがひとりでやってる店。




よく寄ってるせいか、

おばさんもそのうち私たちのことを覚えてくれて娘のほうに接してくれる。



お客さんはそういなくてのんびりできていい感じ。


テーブル席が5つくらい。



壁には小さな風景画がいくつか飾られている。


絵について、
いろいろ説明してくれたけど。



ひとつだけ…。

あの風景のことは画は聞いたっけ?



「ねぇ、おばさん、
ここってどこの景色?」


「うーん、それはねぇ、
わかんないのよ。
うちの旦那が描いたもんなんだけど」



彼女は細い目を一層細め、
思い出すように言う。




「ほら、もう10年前に亡くなったでしょう?
旅行が好きでね、
いつもスケッチブックを持って…、
旅先のどこかなんだろうけどわかんないのよね」



腕を組み天井を見上げて、
小さなため息。



あ、
そうだった。

ご主人、病気で亡くなったって言ってた…。


なんかヤバイこと聞いちゃった…
かも。


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