藍白の鬼



―—…エ……


頭が真っ白になる。


目の前にあるのは男の顔。


しかもかなりドアップされたやつ。


そしてあたしの唇に、なにか柔らかいものが。


「っ!!!」


全てを理解したあたしは、その男を思い切り突き飛ばす。


一瞬、ふらついたスキをあたしは逃さず、捕まらないように距離をとった。


「ナにしてんだ、この変態ヤロウ!」


なんでかはサッパリわからないが、ふらついた男は態勢を元に戻しながらニヤリと笑う。


叫んだあたしの声が裏返って、ちょっと恥ずかしかった。


「気が変わった。来い蓮華」


妙に色っぽく低く言う男。


なんなの、こいつ。


そしてもう一度、あたしに手を差し伸べる。


「儂の正妻に迎え入れる」
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