藍白の鬼
第三章:お酒事件
園長先生には、急にあたしを引き取ってくれる人が見つかったってことで、色々手続きをして、特に私物を持ってないあたしは身一つで京次について行った。


使っていた私物は要らなくなると、自動的に施設に寄付される。


そういう決まりになっているらしい。


まぁ、どうでもいいんだけど。


4月から始まる新生活のこととかは、京次にはまだ言ってない。


…ノコノコ京次について来たくらいで、もうあたしの答えは決まってるとは言えないし。


滅多に人が入らないような林を通っていくと、季節でもない霧が辺りを覆った。


――と、不意に京次があたしの手を掴む。


「ちょ、きょう――」


「逸れるぞ」


思わず身構えたあたしを、京次はその言葉でいとも簡単にあたしをねじ伏せた。


…たぶん、本当に逸れるんだと思う。


わざとらしく、照れくさそうに言ってないし、フツーのトーンだったし。


「…………………」


って、なんでこんなんになったんだろ。

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