藍白の鬼
どれくらい霧の中を歩いただろう。
白く覆われていた視界が、だんだんと晴れてくる。
晴れた視界を見て、目を瞠った。
「……え…」
晴れたと思ったら、京次が足を止め、目の前に広がる別世界のような建物――といっても、大きな日本屋敷みたいな建物。教科書に出てきそうだ――をあたしに見せる。
「儂らの家じゃ」
驚いて何も言えないあたしを余所に、京次はスタスタと中へ入って行く。
あたしは京次の背中を追い、トテトテと逸れないように必死について行く。
すれ違う女中の様な人が、見たことのないような物を見る目つきであたしを見る。
まぁ、京次も着物で、その人も着物で、あたしはジャージを着ていて。
確かにこの場にはふさわしくないものかもしれない。