藍白の鬼
彼女の名前は葉月というそうだ。
そしてあたしの付き人になるらしい。
女中二人に手伝ってもらって、あたしは薄紫色の着物に着替え、この家のルールとやらを教えてくれた。
因みに京次は用事があるとか言って、どこかへ行ってしまった。
「そんで、京次は優しいけど、あまり図に乗らない方が身の為だよ」
さっき話していた声のトーンが下がる。
「…え?」
「アンタの生殺与奪の権は京次が持ってるからね。お判りかい?」
試すような目であたしを見、妖艶に口角を上げる。
「せいさつよだつ?」
「………生かしたり殺したり、与えたり奪ったりはどのようにも思いのまま出来るってことだよ」
やっぱり分からなかったか…とでもいうように、一息ついて説明してくれた。
「…図に乗った覚えがない場合は?」
「さぁ……感じ方の問題だからねえ」
「難しいな……」