藍白の鬼


「ま、そんなことは頭の隅のほうでも置いておきなよ。案内するよ、ついておいで」


悶々としているあたしの腕を掴み、葉月は颯爽と歩いて行く。


「とりあえず大事なとこから行くからね。ここが厠。風呂場はこっち」


葉月は風呂を見せてくれた。


「え、風呂ひっろ!」


その広さ故に思わず叫んでしまう。


銭湯みたいだ。


「次いくよ」


感動しているあたしを引っ張って、次はとある襖の前にたどり着いた。


「佳(ヨシ)、入るよ」


葉月は遠慮がちにそう言い、襖を開ける。


「なに?京次さまがまた連れて来たのかしら」


佳と呼ばれた綺麗な20代後半のような女の人は、あたしを見てクスリと笑った。


「まぁ、そんなとこよ。よしなにしてやってくれるかい」


「それが私の役目でしょう?」


「じゃぁ、まかせたよ」


二人の会話について行けず、あたしは会話を聞いていた。


にしてもこの佳って人、クラスの女ボス的な存在なのか……。


二人の会話でそんな感じの雰囲気は出ていた。


なんとなく、萎えた。


どこでも人間関係ってあるのか。


面倒だ。
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