藍白の鬼


次の日。


「もっと食え」


「朝からそんなに入んない」


「じゃぁ、すぐ寝て太れ」


「はぁ!!?なんで!!?」


「太ったら少しは乳もでかくなるじゃろうて。まぁ、致し方ない。儂が揉んででこうしてやろうかの」


「朝っぱらからナニ口走ってんだ、このエロ鬼!」


「そんな声をあらげんでも、おまえの喜びは伝わっとる」


「喜んでねぇよっ」


そんなやりとりを朝ごはんの最中にしてしまったあたしは、佳に呼び出されてしまった。


こういうのは知っている。


よく、少女漫画に描かれているから。


だけど現実にあるとは思ってもみなかった。


連れてこられたのは、小さな小屋。


中に入るとひどく寒い。


――と、不意に体感温度が急激に下がっていく。


髪も濡れている。


そして鼻に纏わりつくアルコールの匂い。


「なにすんのッ!!?」


どうやらあたしは上からお酒をかけられたらしい。


「蛆虫のエサにでもなってれば?アンタだけがズルいのよ!媚び売ってもないのに!」


うわぁ、エグイ。


女たちはそう言ってあたしを閉じ込め、どこかへ行ってしまった。


てか、京次は昨日、今日で最後って言ってたのにまだいたのか、なんてここから出ようともせず、思う。


でもまぁ、ある意味うれしかった。


学校ではずっと存在を否定され続け、あたしは空気のような存在だった。


だから、嫉妬でもなんでもいい。


そこにあたしの存在意義があるなら。


無視され続けてあたしだけ透明人間に戻るより、マシか。


なんて思って目を閉じた。
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