藍白の鬼
「調子どうよ、慣れた?」
調理場の仕事から解放されたあたしが縁側で休んでいると、数の声が降りかかる。
「んー…まだちょっとキツイかも」
あはは、と空笑いして話を合わせる。
「そう…俺からしてみれば早く仕事覚えてもらわないと困るんだけどな」
隣に座る和をあたしはキョトンとして見る。
「だってほら、そうしないと俺が楽できないじゃん」
「えー!!?」
どやぁ…と、キメる和にあたしは笑いながらバシバシ彼を叩く。
「……………」
和が空を見た。
あたしが座っている場所からは彼の表情は読み取れない。
和をバシバシ叩くのを止め、あたしもつられて空を見る。
綺麗な青空だった。
嵐が去った後のような。
「…話変わるけど、」
「ん?」
和のトーンが低くなる。
「もう気づいてるかな」
「なにが?」
言った後に、彼の言葉の意味を理解した。
「それ、俺に言わせるの?」
和がこっちを向いて、眉を下げてくすくすと困ったように笑った。