藍白の鬼
第五章:淋と楓太
「……朝っぱらからどこ行くんだよ、京次」
彼は昨日あたしが蹴ったことなど、ハナからなかったかのように振る舞い、あたしを散歩に誘う。
「散歩じゃ」
「…なんだ、ここにきて太ってきたから痩せろと?」
「なんじゃ、自覚はあったんか」
「いや、否定してくれよ」
「どうでもええが、離れるなよ。儂から」
彼は意味深なことを言うが、顔が真剣だった。
冗談でそんな顔はしないだろう。
「嫌だと言ったら?」
一体どんな場所にあたしを連れていきたいのだろう。
「死ぬかもしれんし儂に抱かれるかもしれんな」
「あ、おっけー。絶対離れません」
あたしは即答で答える。
どっちも御免だ!