藍白の鬼
もしかしたら、こいつはずっと独りぼっちだったのかもしれない。
正妻はたぶんあたしより前に何人もいて、何人も先に死んでしまった。
だから寂しさを紛らすためにあんなことして……って、こんなことあたしの憶測でしかないんだけど。
「…………………………」
だけど、自然と笑みがこぼれた。
それをキョウジは訝しそうに見ている。
なんだよ。
なんだよ、京次のクセに。
年とって、しっかりしてそうに見えてコイツ。
蓋開けたらただのガキじゃねぇか。
あんなに背伸びしてるガキなんて初めて見た。
程度は知らねえけど、ピーターパン症候群だろ。
だったら仕方ねえや。
仕方ねえから傍にいてやろう。
寂しいって目がいうから傍にいてやる。
さっき、やっと楓太さんが言った言葉の意味、分かったから。
あたし、京次が好きだ。
「……分かったから寝ようぜ、キョウジ。あたしはここにいっから」
「…………蓮華……」
驚いたような嬉しいような、京次はそんな表情を浮かべた。
「それは儂が襲ってもいいという意味か?」
「しばくぞテメェ」
やっぱ全部前言撤回しとこう。