藍白の鬼
終章
「キョウジさ…」
「なんじゃ」
「あたしのどこに惚れたわけ?」
カポーンと、獅子脅しが音を出す。
「正直なところかの」
三回くらいそれが鳴ったくらいだろうか。
京次が遠くを見たまま言った。
「……正直…?」
「体が」
「こんのクソど変態!」
静かな縁側に、あたしの声が響く。
傍から見ればさぞかし滑稽だろう。
「なんてな」
「いや、今の本音だろ!」
「冗談じゃ馬鹿者」
「いや本音だろ!ガッツリ本音だろ!」
「煩い黙れ喋るな口塞ぐぞ」
「!!?」
真っ赤になりながら反抗するも、最早お約束になりつつある言葉を言われ、ササッと口を覆う。
「黙れ煩い喋るな口塞ぐぞ」
そんなあたしを見て京次は柔らかく、笑う。
「そういう、素直なところじゃ」
「……………………」