藍白の鬼
あたしは走って男がいるところに戻った。
気のせいか、男はさっきより苦しそうでもなかった。
あたしはそのぬいぐるみを男の頭に乗せる。
目を閉じていた男が目を開け、あたしを見る。
「こうしたら、あついの、とんでいくんだよ」
あたしは満面の笑みで言った。
男はあたしの顔を見てキョトンとしていた。
そんな男をよそに、あたしは男の手を握る。
さっきより冷たくなっている気がした。
「れんげが、あたためてあげる」
あたしはそう言って、その男に抱きついた。
「…汚れるぞ…」
さっきより息が落ち着いている。
「へーき!」
あたしは笑っていた。
すると男も少し笑った。