カレの事情とカノジョの理想

挑発的な告白






「美春ー! 昨日どうだったぁ?」

「……思い出したくない」

「ふぅん? ね、ちょっと付き合ってよ」



昨日のお礼に奢ると言ってミカに連れてこられたのは、いつも通っているお店じゃなくて大学近くのコーヒーショップだった。


ファーストキスを奪われたのに、見返りがコーヒーなんて割に合わないけど……



一人頬を膨らませつつ店内に入ると、ミカは不思議そうな顔で私を見ている。


勘のいいミカだから、何があったか気付かれそうで、慌てて笑顔を取り繕った。


人懐っこい笑顔に油断して、のこのこ付いて行った挙句、キスされちゃったなんて……


そんなこと、ミカにだって言えない。



「何がいい?」

「んー……カフェラテにしようかな」

「ちょっと待ってて」


席を立ったミカの背中を眺めつつ、やっぱり昨日の出来事を思い出してしまって、一人で頭をプルプルと振った。

< 10 / 19 >

この作品をシェア

pagetop