カレの事情とカノジョの理想
挑発的な告白
「美春ー! 昨日どうだったぁ?」
「……思い出したくない」
「ふぅん? ね、ちょっと付き合ってよ」
昨日のお礼に奢ると言ってミカに連れてこられたのは、いつも通っているお店じゃなくて大学近くのコーヒーショップだった。
ファーストキスを奪われたのに、見返りがコーヒーなんて割に合わないけど……
一人頬を膨らませつつ店内に入ると、ミカは不思議そうな顔で私を見ている。
勘のいいミカだから、何があったか気付かれそうで、慌てて笑顔を取り繕った。
人懐っこい笑顔に油断して、のこのこ付いて行った挙句、キスされちゃったなんて……
そんなこと、ミカにだって言えない。
「何がいい?」
「んー……カフェラテにしようかな」
「ちょっと待ってて」
席を立ったミカの背中を眺めつつ、やっぱり昨日の出来事を思い出してしまって、一人で頭をプルプルと振った。