カレの事情とカノジョの理想
*
蓮沼康人と、ある“条件”付きで付き合う事になった。
……はぁ。
売り言葉に買い言葉だけど、なんでこんなことに……。
昨日のお詫びに奢ると言われ、ミカとまたコーヒーショップに来ていた。
そこでつい、蓮沼康人とのやり取りを思い出し、ふと我に返って自己嫌悪に陥ってしまう。
「何でそんなに嫌がるかなぁ? カッコいじゃないヤスくん」
「そういう問題じゃないんだってば」
確かに人好きのする笑顔や、何気ない表情は、女の子の視線を集めるに十分で。
認めたくないけど、蓮沼康人はカッコいい部類に入るんだと思う。
だけど、あんな軽い男は嫌。
きっと誰にでもおんなじ態度してるに決まってる。