カレの事情とカノジョの理想
「気ィ強いね。そういう女の子、好きだよオレ」
「何す……!」
息が掛かるくらい近くに迫ってきた蓮沼くんは、口元に笑みを浮かべると、強引に口唇を押し付けてきた。
「や……ッ」
逃げようともがくけど、掴まれた手首は振りほどくことが出来ない。
初めてのキスなのに……!
「……っ」
柔らかな蓮沼くんの口唇が、軽く音を立てて私の口唇を食んだ。
ゆっくりと、何回も、強引な行為に反して、優しく唇が重ねられて。
だんだんと、感覚が麻痺していく。
これが……キス……?
抵抗したいのに……チョコレートみたいに甘く蕩けたキスに、身体が思うように動かなくなっていた。
……っ、ダメ!