アタシは見てしまった。
「もうお兄ちゃんとしたんだね。」
外した制服のリボンと
少し乱れてるあたしの髪を見て
判断したのか一花はニヤついていた。
「そうだけど、何?」
一星の部屋の扉にもたれ掛かり
一花を睨んだ。
「お兄ちゃん、すごく優しいでしょ。
何から何まで。
ねぇ、どうだった?」
…………………一花は悪役には向いてない。
だからこんな悪い女ぶったって
笑顔の中の本当の顔はひきつっていた。
「そうだね。すっごく優しかったよ。
あたしの名前を切なそうなに呼ぶんだもん。
興奮しちゃった。」
くすっと笑い一花のまえを通りすぎた。