アタシは見てしまった。
光汰と話をしてたら
あっという間に1時間目終了の
チャイムが鳴った。
「んー、授業戻るか。」
次の授業は出るみたいで
光汰は立ち上がり屋上の扉を開けた。
「光汰、先戻ってて。」
だけどあたしは座ったまま光汰を見た。
だって、まだ怖い。
どうやって教室に
入ればいいか分からない。
“学校に行きたくない”
“教室に入りたくない”
こう思ったのは初めてだった。
光汰は教室に戻ることなく
あたしを見つめた。
「ダサイし、奈々らしくない。」
きっぱりそう言い放つと
あたしの腕を掴み走り出した。