アタシは見てしまった。
負けない
「ちょっ…、光汰!!離してよ!!」
声を上げても離してくれなくて
逆に掴まれてる手の力は強まる一方だった。
教室の真ん前まで来ると
ためらいも無く光汰は
あたしを教室へと入れた。
女子達の目線は一瞬冷たく
光汰の顔を見るとすぐに笑顔になった。
「あ、奈々ちゃんおはよー。」
嘘らしい笑顔。グループ集団。
全てに吐き気がした。
「凄い顔の代わりようだね?
素晴らしい演技で驚いたよ。」
光汰は作り笑いでそう言い
あたしを席まで座らせると
自分の教室へと帰っていった。