アタシは見てしまった。
悪いあたし
「奈々ってほんとバカだよね。」
光汰は謎の悪口を残して
去っていった。
あたしはただ呆然と
光汰の後ろ姿を見つめていた。
「奈々!」
もう光汰の後ろ姿なんて
全然見えなくなったとき
低くて怒ってるような声が聞こえた。
「……………一星。何怒ってんの?」
理由は聞かなくても分かっていた。
「一花が泣いて帰ってきたんだけど
なんか言った?」
一星のこんな怒った声聞いたことない…。
誰かのために、誰かを守るために
一星はあたしに怒ってるんだと思うと
胸が苦しくなった。