最愛
「ところで、夏樹くんて・・・・・上手いの?」
「ちょっと藍っっ」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。やっぱ普段と違うの?それともいつもどおりツンデレ?」
藍のせいで思い出してしまう。
多分耳まで赤くなってる。
「ふ~ん??」
藍がニヤニヤしている。
「結局ゆりは夏樹くん一筋なんだね。ず~っと」
藍は困ったように眉を下げていった。
「本当なら、親友の初体験をちゃんとお祝いしてあげたかったんだけどなぁ」
「・・・・・夏樹はね、あのときのこと、覚えてないの。多分」
「えっ?」
私はあの夜のことを藍に話す。
今までで1番幸せで、温かくて。
けれども切なくて、胸が苦しくて。
あの夜、私と夏樹の間では確実に何かの歯車が狂ってしまった。