最愛
外に出ると、太陽がギラギラと照りつけていた。
8月の日差しが痛い。
蝉がうるさいくらいに鳴いているのに、私はまるで音の消えた世界にいるかのように、なにも聞こえなかった。
頭が痛い。
私は道ばたにしゃがみ込む。
周りを歩く人々は突然しゃがみ込んだ私を不思議そうに見つめるだけで通り過ぎていく。
家に、帰らなくちゃ。
必死の思いで立ち上がった瞬間視界がぼやける。
ダメだ、倒れる。
もう、なるようになれと体の力を抜く。
ドサッ
一瞬の出来事だった。