最愛


「・・・・・・・ゆり?」

朝、寝室から夏樹が出てきた。

「お、はよう。大丈夫?」

落ち着いて、大丈夫だから。

自分に言い聞かせる。

「俺なんで――――――――」

「酔っ払ってここに来たの。ケーキ食べ損ねちゃったじゃん」

夏樹は、頭痛い、なんて顔をしかめた。

「・・・・・なぁ、ゆり」

夏樹の真剣な表情にドキッとする。

「なぁに?」

「俺ら昨日の夜―――――――――」

「夏樹はここに来てすぐに潰れちゃったよ??」

覚えてるの・・・・?

「そうか、俺あんまり覚えてなくて」

そんなあからさまにホッとした顔しないでよ。

りりさんがいるから?

< 21 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop