最愛
私たちは場所を移した。
私は自分のベッドに座る。
「ゆり、そんな怖い顔するな。大丈夫、きっとうまくいくよ」
春斗さんは子どもをあやすかのように優しくそう言った。
下ではおじさんとおばさんがお父さんとお母さんと話している。
「少し休んだらどうだ?」
「でも、もし堕ろせって言われたらどうしよう。確かに私1人じゃ育てていけないけど・・・・。でも堕ろすことなんてできないよ」
また涙がにじむ。
「ゆり・・・・・・。そんなことは絶対にないよ。俺が、絶対にそうさせないから」
「本当?」
「あぁ、俺のとっても甥か姪だからな」
「春ちゃん・・・・・」
おもわず昔の呼び方に戻る。
「ゆり、やっぱり少し眠りな。顔色も良くないよ」
春斗さんはそう言って頭を撫でてくれた。