最愛
私は夢を見ていた。
夏樹が隣にいた。
高校生のときの通学路。
突然つないでいた手が離されて。
夏樹が遠くなっていく。
夏樹、行かないで。
そう言いたいのに言葉が出てこない。
私は泣くことしかできなかった。
ケータイの着信音で目が覚めた。
それは私のものではなく春斗さんのもので。
「もしもし?」
春斗さんが小声で電話にでる。
「あぁ、らしいな。さっきうちも来たよ」
あぁ、夏樹からなんだ。
直感的にわかってしまう。
「具合?普通に元気だったよ。は?お前の勘違いだろ。さっきもお菓子めっちゃ食ってたし」
夏樹、やっぱり気付いてたんだ・・・・。