最愛


「夏樹くん、また来てたの?」

「また?」

なんで毎日来てること知ってるんだよ。

「あぁ、私もいつもこの時間に来るからね~。後ろ姿だけ毎回見るよ?」

「ゆりは?なんで戻ってこないんだよ」

俺は藍ちゃんに尋ねる。

「それは・・・・・」

藍ちゃんの目が泳ぐ。

何か隠してる?

「ゆりは、やっぱり病気なのか?!どこか悪いのかよ?!」

「それは違う。言い切れる」

「じゃあなんなんだよ?!」

「夏樹くん声が大きい。それに、私は何も言えない」

藍ちゃんは真っ直ぐと俺を見つめる。

「・・・・・・。じゃあ会いに行く。今からゆりに直接」

「それはダメっ!!今は大事な時期だ―――――――」

藍ちゃんが口をつぐんだ。

「大事な時期?」

「・・・・・・・」

「なんなんだよっ?!」

< 55 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop