最愛


進学先が決まっていたため、私は大事を取って1週間入院した。

学校へ戻った私が、夏樹の進路変更を知ったのは、夏樹が合格したあとだった。

後悔したって遅かった。

私は、なにも悪くない夏樹の未来を奪ってしまった。

子どもの頃からの建築家になるという夢を叶えるために、有名な大学の推薦が決まったばかりだったのに。

「急にお前の大学の建築科に行きたくなったんだよ」

なんて言うけど嘘。

勉強苦手なのに、内申点よくないといけないからって、毎週ウチに教わりに来ていた。

< 7 / 73 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop