最愛
進学先が決まっていたため、私は大事を取って1週間入院した。
学校へ戻った私が、夏樹の進路変更を知ったのは、夏樹が合格したあとだった。
後悔したって遅かった。
私は、なにも悪くない夏樹の未来を奪ってしまった。
子どもの頃からの建築家になるという夢を叶えるために、有名な大学の推薦が決まったばかりだったのに。
「急にお前の大学の建築科に行きたくなったんだよ」
なんて言うけど嘘。
勉強苦手なのに、内申点よくないといけないからって、毎週ウチに教わりに来ていた。