最愛
ガチャ
「ゆり、名前だよ名前」
春ちゃんが入ってくる。
「兄貴いつから―――――――」
「ごめんな、ずっと聞いてた」
「名前・・・・・?」
「ゆり、いいから。そのことは気にするな」
名前、名前・・・・?
「百合の花、英語でなんていうか知ってる?」
「リリー、・・・・・・・りり?」
「昔ね、俺が夏樹に教えてあげたんだよ」
春ちゃんが微笑む。
「ゆり、夏樹はあんまり言わないけどさ。夏樹はずっと、ゆりのこと、見てたんだよ」
「兄貴はもういいから!!」
バンッ
夏樹は真っ赤な顔で春ちゃんを部屋から追い出す。