最愛


夏樹は私の部屋の合い鍵を持っている。

のろのろと歩く私を置いてアパートの階段を上がって行ってしまった。

夏樹が部屋のどこにいるのか確認するのも面倒で、ソファの上に横たわる。

「ゆり?おっここにいたのか。っておい、顔色悪いぞ?大丈夫か?」

夏樹は氷枕を抱えていた。

キモチワルイ・・・。

「ゴメン」

私はよろよろと立ち上がり、洗面所へ向かった。

つわり・・・ってこんなに辛いの?

朝まではそうでもなかったのに、妊娠したことを意識したとたん辛くなった気がする。

「夏樹・・・・」

涙がこぼれてくる。

どうしたらいいの?

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