【祝M氏企画参加作品】神-降臨




『世界征服』なんていうのは、冗談。


本当の男の願いは、こうだった。


「この世の中は、あんまりにも不公平だと神様は思わないか?
願いを一つ叶えてくれるのなら、世界中のみんなが全員公平に幸せに笑って暮らせるようにしてくれよ」


「フム……」


男のその願いを聞いていた神様の顔は、どことなく悲しそうだった。


「本当に、そうなればいいんじゃがのぅ……」


「えっ、それどういう事?」


「世の中の不公平や不遇は、神々が人間に与える試練……人間の中には、そんな事を唱える輩もいるようだが、たとえ神だとて個々の人間の人生に手を加える事は出来ない」


「えっ!そうなの?」


「幸福そして不幸、悦びと悲しみ……それらも全て含めて人生なんじゃよ。
さっき願いを叶えるなどと偉そうな事を言ったが、わしに出来る事は見守る事だけじゃ……」


「それじゃ、神様の存在意義って……」


「人間は、神に偉大な力があると信じている……それは良心となり、悪への抑制となる。
人間の神への信仰、それこそがわしの存在意義なのじゃよ!」


神様から『神の存在意義』の真実を聞かされた男は、真剣な眼差しで神様の顔を暫くの間見つめていた……




.






< 4 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop