【完】素直になれよ。
「織川さぁ、俺の前でそんな素だしていいの?」
とぼけたような顔で
俺の顔を覗き込む桜井。
「別にもうどーでもいんだよ。名声とか正直もう飽きた。これから誰にも隠すつもりなんてねーよ。」
これは本当だ。
久留米を見ていたら
本性を隠して周りと上手くやっている自分が情けなくなった。
あいつが俺を嫌っている理由も...分かる気がする。
「そっか。衿華ちゃんの影響?」
"久留米"から"衿華ちゃん"に変わった桜井に
少しイラッとしながらも「あぁ」と頷いた。
「つーか俺の事より...久留米はなんであんな噂流されてんだよ。」
「さぁ...俺からは言えないなぁ」
「あ?」
優雅にティーカップを口に運ぶ桜井を睨みつけた。