【完】素直になれよ。





我を忘れて

本能的に久留米を探す俺。



廊下を走って教室を通り過ぎるたびに中を覗いてみるが、誰もいない。




「...帰ったか?」




少し乱れた息を整えて、廊下の先の時計を見据える。



4時......。


部活がないなら...普通は帰るよな...。



明日にするか...。


俺はため息をついて
階段の方に足を進めた。




「あーっ!追試終わったー!」

「お前、声でけーよ」

「やーだってこの開放感ハンパねーだろ?」




追試?


階段を下りてくる男子たちの声が聞こえた。




もしかしたら......



俺は思い立って
男子たちの横を素早く通り過ぎるように階段を駆け上がった。




―――――いた。




「久留米っ!」




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