【完】素直になれよ。
正直のところ...よく分からない。
外灯で照らされた道路を迷いなく進む車のエンジン音だけが響く。
「嫌い?」
「......嫌いでは...」
「あ、ごめん衿華ちゃん、ここ右?左?」
「えっと...たぶん右です。」
「......嫌いでは、ないんだ?」
薄暗い車内の中で口角を持ち上げる美優さん。
...織川を連想させる仕草。
本当に、姉弟なんだ。
「衿華ちゃんの家に着く前に、一つだけいいこと教えてあげる。」
「いいこと?」
「結斗が家に女の子連れて来たの...衿華ちゃんが初めてだよ。」