【完】素直になれよ。
カチャッ。
「ただいまー…。」
家の扉を開いて
真っ暗な玄関の電気をつける。
そっか。
まだお母さん仕事か…。
靴を脱いでリビングの小さなソファに身を預けた。
さっきまでは近くに織川がいたせいか、少しさみしい。
もう少し、いたかった…かも…。
「……。」
美優さんは、彼女ではなくて。
織川が家に女の子を入れたのが…
その初めてが、私で。
ただそんなどうでもいいことなはずなのに。
……嬉しいなんて…どうかしてる。
テレビもつけずに
私はしばらくそんなことを思っていた。