【完】素直になれよ。
そう、あのとき。
_____「……腹減った。」
俺はそう言って誤魔化すしかなかったんだよ…
あいつがいきなり
俺の反応を見て笑い出すからいけないんだ。
久留米が笑ってるとこなんて…
正直、今の今まで見たことがなくて、新鮮だった。
……もっと近くでその表情をとらえたくなった。
無意識にメガネを外して
久留米の視線を独占していた。
なんでそんなことをしたのか…
自分でもよくわからない。
気付いたときには
『ちょ…ちょっと待って…』
そう言って頬を赤らめている久留米の顔が目の前にあった。
そんな表情を目前にされて
俺の本能は余計にくすぐられた。
このままじゃやべぇ……
そう思って咄嗟に出た言葉。
べつに腹なんて減ってなかった…けど、
あいつのハヤシライスの味は…忘れらんねー…。