【完】素直になれよ。
その姿に思わず笑ってしまう私。
その隙にまた
ぐいっと手を引っ張られて
UFOキャッチャーの前に連れてこられる。
「も...いきなり引っ張んないでよ......」
「お前、どれ欲しい?」
「...は?」
「くま?うさぎ?...あぁ、お前はこっちか。」
一人で勝手に口走って
私の事を置いてけぼりにする隣の奴は
獲物を捕らえる前の野獣のように
口角をクイッと持ち上げて、コインを入れる。
すると、UFOキャッチャーのアームが広がって、
織川の手元にあるボタンが光り出す。
なんか......この感覚、久しぶりかも。
童心に帰るような気持ちで
私は織川の指先を見つめた。
昔よく...お父さんにとってもらってたっけ...。